子宮頸がんワクチン狂想曲 |
子宮頸がんワクチンが重篤な副反応の多発を受けて定期接種の推奨中止になっていたのが、今月中にも接種推奨再開をめぐる議論を再開するという(朝日新聞、2015年9月6日付で報道)。
将来子宮頸がんになって早く死んだりせず、健康に長生きできるようにと願って受けた予防注射で、10代の若さで人生を破壊されてしまう。
それなのに。
良かれと思ったその医療に、将来がまったく描けないほどの致命的な健康被害を受けてしまった人たちの口惜しさは、察するに余りある。
おそらく検討会の面々はほとんどが男性だろう。
「それを上回る集団への大きな利益があれば」である。
細菌やウィルスやその他ヒトに感染する微生物のワクチンとは、その微生物と認識される物を体内に入れ、体内に起こる免疫反応でその微生物に対抗する抗体を作らせる。
これに対して、子宮頸がんを作る原因になっていると考えられているヒトパピローマウィルス(HPV)は、ほとんどの人が遅かれ早かれ自然に感染するのに、子宮頸がんになる人はごく一部である。
9人にとっては「注射して良かった」だが、990人にとっては注射しなくても結果は同じだったことになる。
だから、人生の主に後期に、一生に一度なるかならないかという病気を予防するために、人生早期のワクチン接種で何とかしようという発想自体に、無理があるのではないかと私は思ってしまう。 HPV6型、11型、16型、18型に感染することを一時防いだところで、一生子宮頸がんになることを防げるという保障にはならない。
むしろ、すでに自然感染して自然の免疫システムでうまく処理しようとしている最中の人に、年齢的にまだ感染していないだろうという予断のもとに接種している可能性もある。
すでにこの件に関しては前2項(こことここ)で書いているが、重ねて書かざるを得ない危うさを感じる。 2015.9.
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追加: 9月24日のニュース23(TBS)を見た。
学校にも行けないほどの体調不良に陥った妙齢の女性が複数登場していた。
驚いたことに、後者の歩行障害の女性はワクチン接種翌日に高熱が出て、その後熱が下がったからといって「回復した」という分類に入れられてしまい、その後いっさいの追跡調査をなされていないという。
副反応を矮小(わいしょう)化する意図を感じざるを得ないこうした動きには、「人々を子宮頸がんから救いたい」という崇高な理念を感じとることはできない。
どれほど苦心して作り上げた薬であっても、人々に対して益よりも害の方が大きい薬は、だめなのである。 厚生労働省も、産婦人科の専門医たちも、医療の原点に戻ってほしい。
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