子宮頸癌ワクチンの副作用をこうむった患者家族たちが、接種励行の中止を訴えている。
女児のみ風疹ワクチン接種のため、免疫のない男性たちを中心に、風疹が流行している。
ワクチンすなわち予防接種をめぐる話題が、絶えることがない。
病気の中でも、人にうつる病気、すなわち感染症に対し、有効なのが予防接種である。
ほとんどは注射で、1つの病気につき、1-4回の投与を必要とする。
打っておけば、感染源である微生物に対する抗体ができて、かからなくなる。
もしくは、かかっても軽い症状で済むようになる。
みんなが受ければ、社会における流行の発生を防げる。
最終的に病気の根絶すら、実現できることもある。
医学の発展とともに、ワクチンの開発が進み、製品が増える。
ワクチンを打つべき病気は、増える一方だ。
病気がかからず、苦しまずにいられる、予防策。
こんないいことはない、はず。
けれどほんとうは、いいばかりでもない。
たった1つしかない体。
現在のようにワクチンが多種類になれば、当然ながら、多数回の接種が必要になる。
混ぜた製剤を作るにも限度があるから、1度に複数打ったり、しょっちゅう受けたりしなければならない。
ワクチンは、生きていくために打つべきもの。
ワクチンを打つために生きているのではない。
2013年現在。
生後2カ月から1才すぎ頃までに接種が推奨されている予防接種だけで、9ないし10種もあり、13の病気に及ぶ。
ヒブ(細菌性髄膜炎などを起こす)・肺炎球菌・B型肝炎・ロタウィルス・三種混合(ジフテリア+百日咳+破傷風)・ポリオ(もしくは四種混合(ジフテリア+百日咳+破傷風+ポリオ))・BCG(結核)・MR(麻疹+風疹)・水痘・流行性耳下腺炎。
回数でいうと、実に20回を超える。わずか1年ほどのあいだにだ。
幼小児期にも、三種混合の続き・日本脳炎。
10代で風疹・麻疹・子宮頸癌。
高齢者には、肺炎球菌・帯状疱疹。
全年齢をつうじて、冬期のインフルエンザ・・・。
なにしろ多い。
ほんの20年ほど前。
私の娘が1才半頃までに接種したワクチンはといえば、ポリオ(経口生ワクチン)2回、BCG(結核)と麻疹各1回だけ。
その後、三種混合3回、日本脳炎1回(まれだからと思い中断)、MR1回をした。
インフルエンザは、受験のあった冬にしか打っていない。
水痘(みずぼうそう)と流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)は、幼児期に自然に感染して免疫を獲得。それがその頃の子供たちの、ふつうの経過だった。
成長するあいだにかかったのは、インフルエンザと溶連菌感染症にそれぞれ1回。
あとは、風邪をときどき。
細菌性髄膜炎、肺炎、B型肝炎、ロタウィルスによる下痢症のいずれにもかかることなく、大きくなっている。
比べてみれば、いかにワクチンが瀕回になっているか、よく分かるだろう。
実際感染すれば1回で済むものを、ワクチンだと、十分な免疫を作ったり維持したりするのに、2-4回かかることになる。
いきおい回数が多くなる。
これを効率が悪い、と考えるのは、不謹慎だろうか。
感染によって重大な障害や後遺症を残すことさえなければ、一時苦しんでも、病気に打ち勝ち、その微生物に対する十分な抗体もでき、再度感染することは長く防げる。
いわば丈夫な体への階段を一歩登ったことになる。
それはそれで、いいことではないか。
感染という自然なかたちで免疫をつける方法なら、100%副作用はないが、
ワクチンもふくめて薬とは、副作用の可能性から逃れられないものである。
ワクチンの場合はなぜか、「副作用」と言わず、「副反応」と呼ぶ。
その理由は、ワクチンは、ふつうの薬と違うから。
薬は体に直接作用するが、ワクチンは、体の免疫系が抗体を作るような刺激を与えて、間接的に病気への抵抗力をつける。
薬の効き方は、確かに違う。
なるほど、「主作用」と「主反応」と呼び分けてもいいかもしれない。
副作用もこれと同じように、ワクチンでは免疫系を介して間接的に生じるからということで、副反応と呼ぶ。
けれどこの論法は、ちょっと怪しい。
「副反応」と呼ばれるワクチンの望ましくない働きには、確かに免疫を介するものが多い。
しかしふつうの薬の副作用だって、その多くは免疫系を介するアレルギー反応として起こる。
薬疹の大半は、アレルギー機序によるもので、同じ薬を大勢に使ってもごくごく一部の人にしか起きないし、その人は同じ薬を使えばまた同じ(あるいはさらに強い)アレルギー症状を起こす。
だから、ワクチン接種の不都合な結果が「副反応」なのだったら、そんなふつうの薬へのアレルギー反応だって「副反応」となる。
だが実際にはそんな使い分けは行われていないし、アレルギー反応か直接作用かを区別すること自体、しばしば非常に困難なものである。
英語圏ではどうかと検索をかけてみたら、ワクチンに対する用語として、adverse effects(副作用)もadverse reactions(副反応)もあり、それ以外にadverse events(不都合なできごと)という言い方があり、これが圧倒的に多い。
なんと玉虫色の解決!
みんな悩んでいるのだろうな、とほくそ笑む。
副反応とわざわざ呼び分けることには、1つ都合のいい点がある。
聞き慣れない言葉なので、マイナスイメージをともなわない。
たまたま起きた、しかたのないできごと。
医療が悪かったとか、医療の被害を受けたというふうに患者が捉えないように。
でも、どう呼ぼうとも、「副(adverse)」の意味するところは、不利な・不都合な・不運な・意にそわない・逆の・反対の・悪い・マイナスの。
不運であろうが誰かのミスであろうが、起きると思っていなかった、起きてほしくなかった結果には違いない。
副反応=副作用。中途半端な言い換えに、まどわされることのないよう。
大事なのは、「どんな薬でもワクチンでも、嫌な結果を引き起こす可能性がある」という現実から目をそらさないことだ。
さて、その副反応すなわち副作用であるが。
(以下、あえて副作用と書く。)
なんといってもまず、注射時の痛み。
副作用と取り上げるのもおこがましいほど、ほぼ全ての人に生じる。
それを、まだものの道理もわからない子に、毎月のようにする。
乳児はまだ痛覚が鈍いという話もあるが、それにしたって。
自分が赤ん坊だったら、そんな人生のスタートをきりたいと思うだろうか?
注射を、病院を、世の中を怖がるきっかけにすら、なりかねないものを。
注射部位に起きる、局所の副作用。
赤くなったり、しこりができたり、痕が残ったり。
だが、異物を注入すること、注入された物に対して免疫が働くことを考えれば、起こって当然の副作用ともいえる。
苦痛が強くなければ、容認すべきなのか。
しかし、ときには非常に重篤な、全身の副作用。
発熱もまた、当然起こりうる免疫反応の一貫だ。
強い痛みや、下痢・嘔吐ともなれば、一時的でも結構つらいだろう。
ショックを起こして、命を失うこともある。
数年から一生続く、恒久的な重い障害を負うこともある。
いずれも、まれなことではあるが。
ポリオの生ワクチンで、感染しポリオになってしまうというような副作用は、ウィルスを不活化したワクチンを実用に供することで、医学が克服することができた。
ワクチンの保存料として用いられた水銀化合物のチメロサールのように、副作用の可能性の懸念があれば、予防的に排除する方向にもっていくこともできる。
しかし、予防接種の副作用を完全になくすことは、将来にわたってもできないだろう。
ウィルスや細菌などの微生物と、ワクチンとして作成・維持のために加えられる諸成分が、体にとって異物である以上、それが体に入ったときに、予測を超えた不都合な反応をすることは、なんとしても起こりうる。
栄養サプリメントですら、体に発疹などの症状を出すことがある。
危険のない状態に処理済みであるとはいえ、別の生き物の体成分や、配合された化学物質が、どれかの人体と適合しなかったとしても、なんら不思議ではないだろう。
予防接種を打つ決断とは、言葉は悪いが、「賭け」なのだと思う。
重い副作用というはずれくじが、ほんの少しだけ混ざっている。
だから、全部を妄信したりしてはいけない。
打たないという決断もまた、賭けである。
その道の先には、病気にかかって重症になったり、病気のひどい合併症に悩むという、はずれくじが待っているかもしれない。
全部を否定し現代医学の恩恵の一切を放棄するのも、進むべき道ではないだろう。
では、どうするか。
吟味して、選ぶしかない。
幸いにして、日本では多くの予防接種の実施が、個人の選択にゆだねられている。
自分が(我が子が)うつる可能性はどのくらい?
うつったらどんな症状がでる? どんな合併症がありうる?
ワクチンの感染予防効果はどれくらい強い? いつまでもつ?
ワクチンの副作用には、どんなものがどんな頻度である?
医療関係者なみの勉強に、なりうるかもしれない。
大変な世の中になったものである。
私の場合、判断基準は、主に以下の3つ。それぞれの予防接種について、
1)感染する可能性が高い
2)感染すると重大な障害を起こす可能性がある
まずはその2つを基準に予防が望ましいと考えられたら、
3)ワクチンの有効性と安全性
を加味して、接種するかどうかを決める。
たとえば麻疹なら、
1)感染力が強く、流行もまだあるので、感染する率は高い。
2)重症化、脳炎・肺炎・中耳炎などの重い合併症で致死的にも。
3)感染予防でき、時間経過で薄れてかかった場合でも軽くはなる。
ショック・急性散在性脳脊髄炎(ADEM)などの重篤な副作用はありうるが、
感染して合併症になる頻度よりはるかに低い。
以上から、打とうという結論を出す。
風疹なら、
1)抗体を持たない男性を中心とする流行から、感染する可能性がある。
2)症状は強くないが、妊婦が感染すると胎児に重大な問題を生じうる。
3)感染予防できる。事前に採血で抗体の有無を調べれば、接種の必要性も明確になる。
だから、女性は妊娠するより前に検査し打とう、男性も夫となる前に打っておくのがよかろう、と考える。
ヒブ・肺炎球菌・B型肝炎は、1)の感染可能性が低く、
ロタウィルスは、2)かかっても乗り切れるだろうと予想されるので、
私は、ワクチン接種というリスクをおかす必要性を感じない。
3)2011年にヒブや肺炎球菌の同時接種で、乳幼児の死亡が相次いだことも、まだ記憶に新しい。
これが、1)たとえまれでも、2)髄膜炎や急性喉頭蓋炎は致命的だから、とヒブの接種を決断するなら、それも良い。
だが、この4月からヒブ・小児用肺炎球菌・子宮頸癌ワクチンが定期接種となったことには、こうした親の判断以上に接種を推進しようとする意図を感じる。
(ワクチンの定期接種とは、自治体の責任において、全員の接種を強く推進するものだ。
指定期間内の接種は無料になる。いわば安全のお墨付きでもある。
万一の場合の健康被害補償制度もあるが、「予防接種による障害」と厚生労働省に認定されなければならない。)
さてその、子宮頸癌ワクチン。
世界で2006年に、日本で2009年に販売承認され、使われはじめた新しいものなので、これを書くため調べ勉強してみたら・・・。
驚いた。これはひどい。
断じて、定期でなど打つべきものではないと考える。
ごく要点だけをかいつまんで書き出したいが、それでも長くなりそうだ。
1)子宮頸癌の原因と考えられているウィルス(発癌性HPV16型と18型)
の感染を防ぐワクチン。
ウィルスにはほとんどの人がかかるが、子宮頸癌に至るのはわずか0.15%。
すでにかかっている人には意味がないのだが、それを調べもせずに打つ。
性行為開始前ならまだ感染してないというが、乳児期にもう感染している人もいる。
発癌性HPVは多種類あり、ワクチンはそのうち70%ほどしかカバーしない*。
(*おそらくこの70%をもってして「子宮頸癌を70%予防」と宣伝している。)
2)つまり、子宮頸癌は死にも至る重篤な病気だが、ワクチンは癌を防ぐのではない。
発癌ウィルスへの感染を、注射した型についてだけ、効いている間だけ防ぐだけだ。
ほとんどの人は、感染しても問題なく処理できるウィルスの感染を、である。
20-30代の子宮頸癌が増えているというのも、推進の根拠になっているが、
こうした若年者の早期癌は、死に至る重い癌とは別物という見方もあり、
検診を受ける人が増えたため、変な細胞が見つかる頻度が増えただけという。
3)このワクチンができてから、10年に満たない。
だから、感染を防ぐ有効性が20年というのも、予測に過ぎない。
その前にワクチンの効力は切れるかもしれない。
つまり、そのあとまた感染して癌になりうるということだ。
(それなら、若く免疫系が元気なうちに感染して排除した方がいいのでは?)
そもそも、ウィルス感染から発癌まで、数-10数年かかる病気である。
打った人が癌にならず済んだかどうか、10数年以上先までわからない。
本当に「感染を防げば癌の死亡者を減らせる」のか、まだ世界の誰も知らないのだ!
成人への接種も勧めているが、既に感染している人に打ったらどうなる?。
もちろん、感染を防ぐ効果は得られず、無意味な投資となる。
それだけで済めばよいが、起こりかけている免疫反応にワクチンが加わった時、
体内でなにが起こるかは、まったく未知なのである。
このように子宮頸癌ワクチンは、効き目に何重にも疑問符がつく。
その一方で、副作用は群を抜いて多いワクチンである。
人生めちゃくちゃというひどいものや、海外での死亡例も。
2種あるワクチン、ガーダシルとサーバリックスの添付文書を見てびっくりした。
たとえば、国内臨床試験の結果は、以下のようだったという。
ガーダシル:接種後5日間に注射部位にて特定された症状の副反応は、562例中479例(85.2%)に認められ、主なものは疼痛465例(82.7%)、紅斑180例(32.0%)、腫脹159例(28.3%)、そう痒感36例(6.4%)、出血10例(1.8%)、不快感9例(1.6%)接種後15日間に、全身性の副反応は562例中75例(13.3%)に認められ、主なものは発熱32例(5.7%)、頭痛21例(3.7%)
サーバリックス:接種後7日間に症状調査日記に記載のある612例のうち、局所(注射部位)の特定した症状の副反応は、疼痛606例(99.0%)、発赤540例(88.2%)、腫脹482例(78.8%)であった。また、全身性の特定した症状の副反応は、疲労353例(57.7%)、筋痛277例(45.3%)、頭痛232例(37.9%)、胃腸症状(悪心、嘔吐、下痢、腹痛等)151例(24.7%)、関節痛124例(20.3%)、発疹35例(5.7%)、発熱34例(5.6%)、蕁麻疹16例(2.6%)
(医療用医薬品の添付文書情報(下記から薬剤名で検索)より引用
http://www.info.pmda.go.jp/psearch/html/menu_tenpu_base.html)
ガーダシルでは、
「注射部が腫れる人がずいぶん多いな、熱が出たりもする」という印象。
それが、サーバリックスを読んでいって、強い疑念に変わる。
「副作用の頻度が、高過ぎる。こんな結果でどうして審査を通ったのか?」
読み進めていくと、まれに起きる重篤な副作用について、
どんな物でも起きうる過敏反応(アナフィラキシーなど)を除いては、
非常に及び腰な書き方だという、印象を受ける。
急性散在性脳脊髄炎(ADEM)と神経系の難病ギラン・バレー症候群については、
ガーダシルの添付文書には書かれていたものの、
ごく最近、やっとサーバリックスの添付文書への記載が決まったばかり。
厚生労働省のこの決定が2013年3月、そして定期接種開始が、翌4月。
この間に見直しや判断留保が行われないのが不思議である。
他にも、ガーダシルで血小板減少性紫斑病という重大な副作用がある。
だが、いずれも頻度不明とのみ記載。
理由は、「自発報告または外国の報告」のみだから。
そうであっても、参考として実際に起きた頻度を記すべきだろう。
手元にある啓蒙リーフレット"HPVワクチンの実際"(2011年**)に至っては、
アナフィラキシー以外の重度の副作用は、まったく書かれていない。
(**今野良(自治医大さいたま医療センター産婦人科教授)著 2011年)
だが現実に、海外でも国内でも、健康だった子が、
普通の生活ができない体になってしまう例が出ている。
そのうち2-3例でも読めば、とても我が子に打つ気はしなくなるほどの悲惨さだ。
その副作用の多さには、実は科学的根拠もあるように思える。
まずガーダシルもサーバリックスも、遺伝子組み換えワクチンなのだという。
遺伝子組み換えワクチンは、人間用としては本邦初らしい。
らしいといわざるを得ないのは、説明・啓発・教育的情報のどこにも、
この種の情報への言及を見つけられないからだ。
これが事実なら、もっともっと、慎重であるべきではないのか?
しかもサーバリックスの製造には、「イラクサギンウワバ」という、
なんと蛾(ガ)の幼虫が使われている。
ヒブなどに牛の成分が含まれているだけでも問題になっているのに。
「コチニール色素によるアナフィラキシー」というのをご存知だろうか。
天然成分の着色料なので体にやさしいかと思ったら、ひどいアレルギーを起こす。
このコチニールも、昆虫から取った赤い色素なのである。
昆虫の成分という異物を体に入れることで、アレルギー反応が生じるわけだ。
蛾の成分も、アレルギーを起こしやすいかもしれない。
インフルエンザワクチンも、卵で培養するので、必ず問診で卵アレルギーを聞く。
急性散在性脳脊髄炎も、ギラン・バレー症候群も、薬やワクチンでしばしば起きる
アレルギー性の病気と考えられている。
異物として体に入って、人によってはアレルギー「反応」を生じること。
それこそがワクチンの副「反応」だというのなら、
それに気を付けもせず、いったい何に注意するというのだろう!
結論:1000人に1-2人発生する癌を予防するために、
10人中1-8人に起きる不快な副作用と、
ガーダシルで100万人に52.6人、サーバリックスで100万人に114.7人の多さの
(インフルエンザワクチンでは100万人に2.2人)
たいへん重症の副作用を、覚悟しなければならないワクチン。
無料や癌のおどしにつられて、子宮頸癌ワクチンを受けては絶対にいけません。
ところでワクチンには、増え過ぎているということ以外にも、気になる点がある。
1つは、商業ベースの影響がある、ということ。
ワクチンの使用期限は1-3年。過ぎれば廃棄で赤字になる。
1本の価格が数千-1万円以上だから、利益も損も大きい。
しかし培養して製造するという工程のため、短期間の追加生産補充ができない。
このため、需要を予測して生産数を決め、作った在庫は使い切らなければならない。
薬局に任せられる内服薬や外用薬と違って、注射薬なので、病院・医院が直接在庫を抱えなければならない。
在庫を持てば、消化することを考えざるを得ない。
ふつうの薬より格段に、売り切るための戦略が働きやすい商品なのである。
需要と支払いが確保できる定期接種は、たいへん都合が良いことになる。
そしてもう1つは、副作用認定を受ける困難さだ。
注射部位に起きた症状なら、たいがいは注射のせいと認めてくれるだろう。
だが、全身性の副作用であると、因果関係の証明ができない。
その結果、「たまたまそのときに起きただけ」という解釈が可能になってしまう。
「注射針の痛みや恐怖」もしばしば、起きた症状の理由づけに使われる。
怖がって不安に感じたり緊張したりするから、失神する、とか。
ワクチン自身に問題はない、と言いたいのだろう。
けれどワクチン注射は、ふつうに安全と認められている医療手技である。
医師が、特別にひどい注射の痛みを与えたというのか。
スタッフが、恐怖感を抱くようなずさんな応対をしたのか。
患者が、ことのほかいくじなしか、情緒不安定で恐がりだったのか。
いずれも、これら当事者の名誉をいたずらに傷つける、いいがかりに等しい。
一時的にくらっとする血管迷走神経性反射としての失神は起こりうるが、それ以上に重症の副作用をこのためだとするのは、どうしたって無理がある。
「紛れ込み事故」という、これまたひどい言い方もある。
ワクチンを受けた直後という時期に、たまたま他の病気が発病したものを、副作用と勘違いしているというものだ。
けれど、その「他の病気」が起きた原因が別のものだと明確にできるのでなければ、紛れ込みだと決めつけるのは、恣意(しい)である。否定できない限り「疑い症例」として残すのが、論理的・科学的思考というものだろう。
だいたい、めったに起きないような特別なことが、2つ同時に起きるなんてことはそうはない。1つのことが起きていると考えるほうがよほど自然だ。
それが急性散在性脳脊髄炎やギラン・バレー症候群のように、ワクチンに関連して起こりうる症状であるなら、なおさらである。
こんな言い訳じみた否定が、現実社会ではまかり通っている。
副作用をこうむった上に、それは副作用でないと非難されるなんて、どれほどつらいことだろう。
副作用を隠すような医師の勧めで予防接種を受けるのは、決して賢明とは言えない。
ワクチンは、人の感染症との戦いにおいて幾多の革命をもたらし、今も恩恵を与えてくれている、すばらしい医学の武器の1つである。
しかし同時に、抗体を作るための主成分に加え、製造・成形・品質保持・包装の過程にともない幾多の物質が添加された、生物や化学物質の集合体である、きわめつきの異物でもある。
有効性が危険性を上回ると判断される場合でなければ、打つべきではない。
ほんとうに残念なことだが、この判断をただ医師に任せておけない時代になってしまった。
推奨側の説明は、都合良く脚色されているかもしれない。
隠蔽とごまかしのせいで、よく読むだけで、論理矛盾を発見できることすらある。
逆側の情報も、調べて目を通そう。ただし、何でも否定のエキセントリックなものには注意。
どちらにしても、冷静に理論的に中立的に書いてある情報を信用するのが良い。
また、どれほど一般向けの情報で副作用面の言及が避けられていたとしても、
前述の「医療用医薬品の添付文書情報」には、最低限の網羅情報が必ず載っている。
(ここでだけは、ガーダシルやサーバリックスの「製法の概要」の欄に、「組換え」という言葉をはっきり確認できる。)
ただし、薬の名前で検索しないと出てこないので、一般の方には少し使いづらいかもしれないが。
(「子宮頸癌ワクチン」と入力してもなにも出てこない。
販売名の「ガーダシル」や「サーバリックス」を入れると出てくる。
「ワクチン」を入れれば、少し数は多いが、全部出てくる。)
実態を直視する勇気のある方には有効な、情報源の1つである。
「まゆつば」という言葉がある。
眉につばを塗れば、きつねにだまされることはない。
本当かどうかわからないぞ、という気持ちで、
だまされないように用心して読まなければならない物。
予防接種についての説明とは、そうしたものなのだ。
自分で考えて、受けるかどうか決めよう。
自分自身の、自分の家族の、健康と幸福のために。
そうしたら本当に必要なワクチンは、そんなに多くはならないはずだ。
2013.4.