ご記憶して下さっている方もいらっしゃるだろうか。 前の方の章「働きながら」の中盤で、私のアトピー経過の悪化と改善を、血液検査で振り返ったことを。
お示しした各種の数値はどれも著明に改善しており、アトピー型アレルギーの指標とされる血液中のIgEの総量も下がってきていた。
この後スクロールして下方に呈示する、画面左側の一連のグラフがそれである。
血液中のIgEは、アトピー性皮膚炎およびアトピー体質の状態を診るものとしてもっとも代表的な、信頼性のある検査である。
IgE RIST がその総量で、さまざまなアレルゲンに対する反応性の強さの平均値的な意味合いを持つ。必ずしも臨床症状と平行しないこともあるが、該当時点の体質の強さを示す、客観性に富む計数可能な指標だ。 IgEがもっとも代表的かつ信頼性が高いという理由は、他の指標と比べてみれば分かる。(ここはご興味がなければ跳ばして本論に行って下さい。)
臨床症状、すなわちアトピー性皮膚炎の発疹のひどさは、もちろん第一の指標だ。
スクラッチテスト、パッチテストなどの皮膚テストは、抗原ごとに実際に体で起きる反応をみることができる、確実性の高い指標だ。
経口負荷試験。
そして血液検査。
個別の項目をみられる血液検査としては、他にIgGがある。 ゆえに、状況の如何に関わらず、一定の結果を明確な数値として得られ、個別の項目に対する反応性まで調べられ、容易にくり返せて経過を追うことが可能な、信頼性のある検査となると、やはりIgEに回帰する。
それでも、アレルゲン(抗原)に対抗するIgEという抗体が一定量以上血中にあるということは、アレルギーを起こそうと抗原侵入を待ち構えているはずなわけで、そのアレルギー準備状態が形成された何らかの過程が、その人の体内にあるには違いない。
TARCが測定できるようになったここ数年は、その経過も追っている。私の最悪の時期にはできなかった検査なので、もちろん当時との比較はできない。
IgGに関しては、海外で一度だけ測定したことがある。
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さて、では本論のIgEの話に行こう。
まず総量としてのIgE RISTである。
1枚目は、悪化時からの経過を記したもの。
あまりに最高値が高過ぎて、最近の値が全部同じに見えてしまうので、社会復帰した頃の 3200IU/mlから現在まで(1枚目グラフの棒3本目以降)の部分を、2枚目のグラフにした。
3から8枚目の青い線の棒グラフは上から、ハウスダスト1、ハウスダスト2、ダニ1(ヤケヒョウヒダニ)、ダニ2(コナヒョウヒダニ)、花粉のスギ、ヨモギを示す。 (ここで、注としてグラフの書き方についての説明を少しさせてもらう。)
(注1:IgE RASTは、その測定値によりクラス分けされ、アレルギーの強度を示す。
(注2:ヨモギで描いたフェードアウトしている棒は、そのときの測定検出限界以下で、具体的数値が出なかったものをこのような形に表示した。
IgE RASTは、ごく一部の繊維も検査できる。
ラテックスは、医療従事者として手術用手袋をくり返しつけるうち、いつしか外すと蕁麻疹の出現を認めるようになった。
そして11から14枚目の茶色線棒グラフは、成人でアレルギーになりやすい食物、エビ、カニ、リンゴ、モモである。
最後の15,16枚目の緑色線棒グラフは、アトピーの症状を悪化させる代表的細菌の黄色ブドウ球菌と、同じく代表的真菌(カビ)である有名なイーストコネクションの犯人カンジダの IgE RASTである。
この改善ないし軽快を、どう解釈すべきだろう?
今は卵、乳、小麦、ピーナッツに対して、限られた医療機関でのみアレルギー児に行われているこの新しい早期摂取のススメが、いずれは他の矯正不能とされているアレルゲン、たとえば甲殻類や果物や蕎麦にも広げられていく日が、いつか来るのだろうか。 できたとしても、たとえばスギ花粉の舌下免疫療法もそうであるように、何であれ、長期間にわたる慎重な取り組みが必要になるのだと思う。
手に負えない致命的な反応の危険は、避けるよりない。
では軽い反応やそこそこの反応は。
私のこのIgE RAST値の低下は、ただ母集団である総IgE値の低下を反映しているだけかもしれない。
解釈はどうとでもできる。
この11年は、再び人並みの社会生活を営みつつ、自らの健康維持をも図ってきた年月であり、新しい代替療法NAETとともに歩いてきた日々でもあった。
今は、このデータはNAETの成果と言って良いだろう、と私は思っている。
これからも私は、このNAETを少しでも余計に極めるべく、日々努力を続けていく。
さらに見るべき成果が出たら、いつかまたここでご報告させて頂くのだろう。 2017.7.・・悪化から24年、NAET開始から11年が経過。 |