ディズニー実写映画「トゥモローランド」を観た。
さすがのスケールと映像パワーは言うに及ばずだが、ただのエンターテインメントに終わらない、全編を貫くアメリカらしい前向きな世界観が好ましかった。
トゥモローとは人類の明日、すなわち未来。
産業革命以降、急速な発展をはじめた地球の文明社会は今日、コンピューターやインターネットの登場をも迎え、極限の発展を見せている。
その素晴らしさに酔うほどに不可避な、これは終局ではないかという不安。
人類の歴史の完了、資源が尽き、地球を使い果たす日が、いつか来てしまうのだろうか。
若い頃に読んだり観たりした世界終末物語は、他人事のように見ることができた。
街を覆うドームの中でしか暮らせなくなるというSF話。
核爆弾の応酬で都市が滅ぼされるハルマゲドン。
汚染や生命力低下により細る人類の系譜。
突然の気候変動でわずかの人々のみが生き残るスペクタクル。
公害は、工場直近や都心など、一部の地域に限られた問題だろう。
核戦争を始めるほど、さすがに世界各国の首長たちは馬鹿じゃない。
地球資源が尽きるなんて、遥かずっと先のこと。
そんなふうに思えた20世紀。
時は流れ、状況は変わる。
「沈黙の春」で農薬、「複合汚染」で環境汚染、
「奪われし未来」で環境ホルモンとなる化学物質。
話題の書たちが警告してきたように、今私たちが暮らす日々の人間の生活の営みそのものが、この世界をどこかしら壊しつつ存続している。
空気を吸わなくては一時も生きていられない私たち。
でも今や、その空気の中にはさまざまな汚染物質が漂っている。
中国のように空気が茶色く河が赤く見えるようになってさえ、日々の営みを止めることはできない。
じわじわと上がっていく地球の気温。
異常な暑さに体力を奪われる中、いつも通りの働きを見せ続けなければならない。
それでも。
まだ希望がある!
ディズニーはそう訴える。
それが、私たちの生きる道。
2015.6.