かつてこれほど、知にたやすく辿り着けるときがあっただろうか。
一つ、あるいはいくつかの言葉、または文を打ち込むだけで、
その内容に関わる情報が直ちに表示される、「検索」という機能。
何か知らない言葉に出会ったとき、
ほとんど誰もが所持しているそのスマホやパソコンを、
極めて短時間操作するだけで、
新たな知識が自分のものになる。
はじめて出会う言葉が、あっという間に既知のワードに変わる。
図書館も参考書も、一冊の辞書すら要らない。
検索ワードが細部まで正確であれば、
その検索精度は恐ろしいほどだ。
ネットに上げている人がたとえ世界にただ一人でも、
瞬時にその記述へと辿り着ける。
人類の頭の中が、ここには呈示されている。
夢のような時代である。
私は学ぶ。
日進月歩の医療の世界では、病気の概念や診断や治療が、
日々尽きることなく生まれ続けているのだから。
先週学んだ病気の患者さんが、今日外来を訪れることもある。
どんな事態にも、私たち医師は対応できなければならない。
ネットは、それを助けてくれる力強いツールとなった。
ときに不正確な情報があっても、複数の情報源を照らし合わせて真実を探す。
同じ興味を通して、現実では到底接しようもないあらゆる人と、思考が交錯する。
一世紀前の海外論文の原文に出会ったときには、感動で体が震えた。
学びの原野へ、今日も私は探索の旅に出る。