いつでも、皮膚の不健康が、何よりも問題。
そんな体質が、いつの間にか過去のものとなった。
あれほどしつこかった、肘周りの慢性湿疹さえもが軽快した。
自然治癒だけではないと思っているので、今でも、自分に対する代替療法施術は、怠らないようにしている。
そのときどきの問題を解決し、引きずらないことを可能にしてくれるので、とても助かっている。
バリアの弱い手は、少しの洗い物でもすぐ乾き、未だ軽いアレルギーの残るホコリやダニの侵入を許してしまうようで、軽度の手湿疹が、治ってはすぐまたできる。
だがその痒みさえも、しばらく耐えていれば治まってくれるぐらいになって、ワセリンで保湿する必要性を感じることすら少なくなっている。
夜寝ていて、二の腕や背中やおしりにボコボコ痒い膨らみを生じることも、次第になくなりつつある。
アトピーがあって人目をはばかるようなことが、本当になくなって、驚いている。
ここまでアトピーのくびきから解き放たれる日が来るとは。
西洋医学の高度技術に期待するだけでなく、方向性の異なる代替療法という別個の英知にまで視野を広げたことで、この結果を得られた来し方の幸運に、深く感謝している。
むしろ最近の私の体の最大のテーマは、別の持病である、過敏性腸症候群の悪化とその制御の方に移っていた。
アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、喘息、アレルギー性鼻炎、同結膜炎と、アレルギーで表出する病気がときによりが移り変わっていくことをアレルギーマーチと言うが、同じように神経過敏に由来するアトピー皮膚炎と過敏性腸症候群も、関連する病気と捉えうるのかもしれない。
腸の症状が、もし、そのとき飲食したアレルゲンに起因しているのなら、それもまたアレルギー疾患のひとつという見方ができるだろう。
そんなことを考えて、ここから、私の過敏性腸症候群の履歴をたどり直してみる。
まず一番に思い出されるのは、その病名を初めて告げられたときのこと。
30歳にさしかかる頃、結婚準備と大学病院退職前の最後のご奉公で超過密スケジュールの中、ひどくお腹を壊したことがある。
病気で何日も仕事を休んだのは、たぶん就職後始めてだったのではないかと思う。
原因不明の腹痛だからということで、大腸の内視鏡検査までした。
そして、大腸に何かできている(器質的疾患という)のではなく、働きがおかしくなっている(前者に対して後者は機能的疾患)と診断された。
過敏性腸症候群 なる病名を最初に知ったのは、このときである。
出されるままに薬を飲み、職場に復帰した。
治ったと思っていた。
そのときは、休んでいた分のマイナスを埋め合わせることしか考えていなかった。
でもそれは、一時の病なんかではなかったのだ。
数年後に、私は気付くことになる。
アトピーの激症化で弱った私の精神神経系は、血圧や便通の調整をうまく行えなくなっていった。
ただこのときは、30代にして親の庇護の下に安穏としていられた私は、精神的にはさほどストレスを感じていなかったと思う。
それでも、体は破綻をきたしたのである。
振り返ってみると子供の頃からで、小学校と高校のときにそれぞれ1回入院したのはいずれも、とくに食中毒などの原因もなく、突発的にお腹を壊してだった。
腸の壁には神経が張り巡らされている。第二の脳と言われる所以である。
神経質な私の腸は、折々に、敏感すぎる反応を生じるのだろう。
何に反応して? アレルゲンか? ストレスか? あるいはその両方?
一昨年、夏の始めに冷たいミルク入りドリンクをがぶ飲みしてから、お腹が空気で張って辛くなったことは、すでに書いた。
それは、消長をくり返しながら、ゆっくりと治っていった。
しかし、この春先から、また激しい張りが再燃したのである。
最初はてっきり胃がストレスにやられたのだろうと思っていたが、どうやら主体は大腸のようだった。
お腹の上方だけでなく全体が前に張り出すほど、はち切れそうなほどにパンパンに膨らんだかと思うと、とてつもない量の空気がおならとして放出される。一部は上からも。
便が排泄されるタイミングでは、ことさらに胃腸の荒ぶりが強くなり、お腹が痛いわ苦しいわで、他のことは何も考えられないくらいになる。
どうしてこんなことになるのだろうか?
「なんだってまたそんなに暴れなければならないの?」と尋ねてみても、無論、腸からの答えはない。
単に、歳をとってきたので、多様な飲食への胃腸の対応力が減退しているだけなのか。
しかし、食事の内容や量やタイミングは、周囲の人々との関わりも影響するので、100%自分の考えで進めることはできない。
つくづく、社会の中で生きていくことは難しい。
どうするのがより良いかと考えすぎて、にっちもさっちも行かなくなってしまうこともある。
多分、その中でダイエットに成功しただけでも、めっけものなのだ。
手に入る食を、素直にありがたく頂く、そんな謙虚な姿勢がきっと私には欠けているのだろう。
腸のご機嫌を伺っては右往左往していたそんなある日、急激な腹痛とともに、粘液の混ざったような大量の便が一気に出たことがあった。
折しも、厄介事がいくつも起き、消耗していたときではあったが、どうやらそのためだけではないようだった。
それはNAETの体質改善で、牛乳に関する施術をした日だったのである。
そして約2週間におよぶ、不安定な期間を経た後、私の体は、乳製品に対して、今までとは違う反応を見せるようになってきている。
蕁麻疹のような発疹が出なくなるとともに、食べたいという渇望も減ったように感じる。
「だから皮膚が良くなったのかもしれない」と今思っている。
私の問題は、どうやら徹頭徹尾、乳アレルギーであったらしい。
施術から1か月余、私の過敏性腸症候群は、ほぼ鳴りを潜めた状態となった。