過敏性腸症候群考




過敏性腸症候群が、20代からの持病である。
10代までは何を考えていたんだか、無心に自らの本能?の赴くままに生きていたように思う。
いや、もちろん当時なりの悩みはあっただろうし、思い出せることもないではないが、しこりとなっているようなものはない。

何といってもその頃までは、失敗を恐れる気持ちが乏(とぼ)しかった。
まだ経験が少なく、十分な社会性も身に付いていない時期だったからだろう。
それが成人し、物事をより広く深く考えられるようになると、今しようとしていることの先に、さまざまな分かれ道が想像できるようになってくる。

「あぁ、ここでこうするとああなっちゃうよな」・・
さらには「そうしたら、あの人たちに迷惑をかけちゃう」し、
「それをした私に対する評価はこうなり、私の立場はこうなるのだろう」
までが、瞬時に頭の中に思い描かれる。
それこそ、リスク回避のスキルであり、社会人として必要な能力であるのだが。
個人の心身にとってみれば、それらは大いなるストレスとして働くわけである。

消化管はストレスに鋭敏に反応する臓器のひとつだ。
腸の粘膜には神経網が発達していて、いわば「考える臓器」ではないかと私は思っている。
よく「心配事があって胃が痛いよ」などと言う、あれである。

消化管の中では、私は胃よりも腸のほうに来やすい性質(たち)である。
胃は痛むのではなく、蠕動(ぜんどう)運動にともなって生じるガスやその張り感が主体。
便秘と下痢を反復し、開通時には腹痛をともなうのは、腸メインの症状と考えられる。

私の体の最大の弱点である皮膚は、東洋医学でいうと肺経に属する。
肺経と大腸経はペアの経絡なので、大腸経もまた弱いのだろう。
ちなみに、肺経の真裏に位置するのは膀胱経で、ここも敏感なようである。

2024.8  

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