熱波・洪水・冷房

-10年経ち再び-




熱に浮かされた人々が行き交う、灼熱のアスファルトの上。
注意力も判断力も、暑さで奪われた体(てい)で。

地球温暖化という言葉を聞いて久しい。
事態はじわじわと進行し、くい止めることができない。
人間の欲が、知恵に勝っている。

ほんの30年くらい前まで、冷房なしで夏を暮らせたのが、嘘のよう。
今やそれは必須の生命維持装置となりつつある。

電気エネルギーの保存や、運搬や、再生が、
もっと簡単だったらいいのに。
そんな不安定な動力に、かくも依存する現代人類。
あらゆる仕事が、遊びが、生活が、電気なしでは廻らない。

原発の危うさを知っても、
石油を燃やしてオゾン層を破壊しても、
石炭で空気を汚しても、
私たちは電気を求めて止まない。

温暖化がもたらす集中豪雨、水害、土砂災害。
さらにその裏の、冬の寒波も。
1か月分の雨が2−3時間で降るという異常現象。
これほどの熱波の上昇気流を作り出したのは、
他ならぬ人間の専横な営みにちがいない。

これは宿命か。
文明の発展が導く、逃れられない帰結なのか。
それでも、この島国の中で生きて行く。
この世界で、この地球でしか、人類は生きてはいけない。

私たちは今を享受(きょうじゅ)する。
けれどそれだけではいけないのだろう。
節制すべきところは、しなければ。

有限なる石油の浪費に、無神経でいてはいけない。
震災の喉元すぎれば、節電の声も聞かず、冷房設定温度も節操なし。
それらが、地球温暖化を進めると心に刻んで忘れず。
廻り廻って、自分らの身に返らぬようにするために。

2014.8.  

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