「病気に特有な性格」というものが、語られることがある。
誰もが、体の中に傷み易い弱点を、その人固有に持っているのだとすれば、
同様に、心の働きの中にも、固有の弱点があってもおかしくない。
残念ながら、アトピー患者の性格として語られるのは、否定的なものが多いようである。
「ストレスに弱い」「甘えてる」「我が儘」「歪んでいる」「人の言う事を聞かない」
・・そんなに彼らは、駄目な者たちだろうか?。
東洋医学では、臓器や経絡には、関連する感情があるという。
皮膚は肺経に属し、その関連する感情は、「悲」(「憂」としているものも)だそうである。
悲しみ(憂鬱)を抱く人は肺経を病み易い。
肺経が弱い人とは、出来事に対して抱く感情が、悲しみ(憂鬱)という方向に向かい易い人、なのかもしれない。
実際に、私の個人的に知るアトピー患者たちには、細やかな心遣いのできる、優しい人が多い。
怒(肝)、喜(心)、恐(腎)、思(脾)よりも、悲を抱き易い人とは、何かの事が起きた時、それを自分の悲しみとして受け止めるような人であるだろう。
優しい人であるということは、納得できる。
アトピー患者たちは、悲しみで傷付けられた心を抱えて、生きているのか。
悲しみに傷付けられ易い、繊細で敏感な心で、生きているのだろうか。
涙のように、ガラスのように、透明な光を放つ心。
それを私は、彼らの内に見る。
ひ弱であろうが、悩みによじられていようが、それは美しい。
私はそれらを、愛(いと)おしむ。
2008.8.