「薬がどんどん強くなる」 |
今年は、画期的抗癌剤、ニボルマブ(商品名オプジーボ)がたいそう話題になった。 桁違いに高価、しかし効果もまた並外れている。
私が医師になった頃の抗癌剤、すなわち化学療法といえば、効いているのかいないのかわからない再発予防か、末期の病床でいくらかの延命や腫瘍縮小を成し遂げるだけだったように思う。
そして今、命を天秤にかけられているこの病気に対し、ベッドに縛り付けられた延命ではなく、ほぼ普通に何年も暮らせるようにできる薬がここにある、と患者は告げられる。
まず第一に、こうした超高価な薬を適用とすべきかどうかが、熟慮される。
次に、副作用を容認できるかだ。
さらに多くの場合、こうした薬が必要なほど元々難治な病気であるなら、症状が治まる寛解まではもっていけたとしても、それがイコール治癒ではない。 ◆ ◆ ◆
今年は、アトピー性皮膚炎に対しても、この範疇に入る新薬、デュピルマブ(商品名デュピクセント)が発売された年だ。 既存治療をきちんと受けてなおかつ広範囲の皮疹が難治、すなわち外用ステロイド及びタクロリムス(商品名プロトピック)も、保湿剤も、たっぷり使っていることが必要条件。さらに新薬を開始してもそれらを止めないという約束ができなければいけない。 つまり「ステロイドを使いたくないからこの薬で改善したい」という希望は成立しない。
副作用:
継続通院:
◆ ◆ ◆
アトピー性皮膚炎。
デュピルマブにより、アトピーを忘れる幸せな生活が送れるようになる方たちが出る。
その一方で、こうした現代西洋医学の流れには、懸念を抱かざるをえない。
これらは医原病ではないのか?
科学技術が発達するほど、薬は精巧なものになっていく。 2018.12
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