医療事情
ストレスと女医★★★・・・職業婦人としての女医のストレスについて、アメリカでの実態と解決策について語った本。少し古いが、女性の悩みは変わらない。
医療の犯罪★★・・・人体と動物の体は異なるので、動物実験はナンセンス。ワクチン接種によって症状の悪化が引き起こされた。伝統的に良いものとして行われてきた医学の欺瞞を、世界中の現場の医師1000人の証言で暴き出す。
惜しむらくは、証言が断片的で非常に読みにくい。
コード・ブルー★★★★★・・・アメリカの外科医が描く医療と病気の現実。医療ミス問題、原因不明や難治性の病気などの、避けて通られがちな問題を過不足なく描く、優れたドキュメンタリー風エッセイ。
医者が患者をだますとき★★★★★・・・センセーショナルな邦題が嫌で読まずにいたのは、誤りだった。いや、今読むのが良かったかもしれない。
原題は「医学(界)の異端者の告白」。功成り名遂げたアメリカの小児科医(すでに故人)が、現代医学の本質的な問題点を鋭く突く。1979年になされたその指摘は、驚くことに、(具体的な薬の名前などを除けば)全く古くなく、現代にもすっぽりあてはまる。
医師のなすべきことは、ヒポクラテスの時代から変わらず「First, do no harm.(まず害をなすな。)」なのだ。それを、現代医学は忘れている。
患者にとっては、医療から害をなされないための、着眼点を教示してくれる書でもある。
自分を守る患者学★★★★・・・著者は、日本統合医療学会の理事長である、この分野の先駆者かつ第1人者。
統合医療とは、西洋医学とその他代替医学の良いところ並び立たせ、より良い医療として統括していこうという考え。
「科学が頂点し達したゆえに限界がみえてきたのが、いま通常行われている西洋医学です。」という「はじめに」の中の1文。東大医学部から心臓外科を専攻し東大医学部教授という履歴の、いわば西洋医学の超エリートがこう言っているということは、とても重くはないか。
医療の限界★★★★★・・・圧倒的名著。医学のみならず膨大な読書量で文学の素養も豊かな著者ゆえに展開できた議論であろう。
患者は100%を期待する、しかし人間は病むし必ず死も訪れる。司法は、悪意による犯罪と、善意の医療の中に一定の割合で生じうる不測の事態をいっしょくたにする。行政は、医療を市場原理で考えたがる。医療の現場を破壊する社会要因をひとつひとつ丁寧に分析していく。
夢物語ではなく、現実の医療を知りたいのなら、ぜひ読むべき1冊である。
9割の病気は自分で治せるーあなたも私もおいしい患者?ー★★・・・著者は脳外科医出身、不必要な薬や検査を見過ごせず、臨床医をやめてe-クリニックを開き、癌患者や慢性疾患の人への医療相談などを行っている。
「医師が関わらなくても治る病気」の人は、検査や投薬を受け続けるおいしい患者にならず、自らの生活・栄養・精神などを改善する努力で根本的に治そう、という主張には、全く同意する。
アトピー性皮膚炎も含めて上手くいった症例の呈示ばかりなのには、若干の不満を感じるが、著者が望んでいるのは、医師が本来の業務、「医師が関わらなければ治らない病気」の治療と「医師が関わっても治らない病気」の研究に専心できる状況の実現であり、そのためには、無駄な医療を一掃しようという話である。
非常に分かり易い文体で、誰が読んでも参考になるだろう。
なぜ、患者と医者が対立しなければならないのか?★★★★・・・多くの医療従事者は、患者を治したい、よくしてあげたいと思っている。
しかし現代日本では、患者やマスコミはしばしば医療に不満を持ち、対立が生じている。
著者は、この不幸なすれ違いを解きたいと思っているのだろう。私もいつもそう思う。
キーワードは「医療の不確実性」。治癒という理想はどこまでも高く抱けるが、医療者が理想のすべてをもし体現できるなら、人間は不老不死になってしまう。
がん治療で殺されない七つの秘訣★★★・・・言わずと知れた「がんと闘うな」の先生の1冊。
私は、医師になって間もない頃に、この方の「がん最前線に異状あり」を読んで大変感銘を受けた。
西洋医学は闘ってやっつけることに夢中になりすぎた。病気でないもの、拒否すべきでないものまで攻撃しかねない状態になっているのが、残念ながら現代医療だろう。
放射線科の医師でおられるので、その分野の治療についてはいささか点が甘い気もするが、「外科手術ばかりが能じゃない、治療法は選ぶべき、治療するかどうかも選ぶべき」というのは、現代医療が忘れている真実だと思う。
なぜ健康な人は「運動」をしないのか?★★・・・タイトルの印象に反して、「運動のすすめ」の本である。
体に負担をかけるきつい「運動」ではなく、日常の中で「1日8000歩、中程度の運動20分以上」の活動を実現、継続すること。
町単位で長期追跡調査した研究の結果だから、説得力がある。
健康維持に楽な道はないのだなぁ、と納得、でもちょっとがっかり(笑)。
|