<猛暑と都市とマンション>

-あるべき姿とは?-




連日焼け付くような暑さだ。

最低気温30℃を記録した今年、6月下旬から始まった夏の陽気は、長い残暑へと続くらしい。
これからの夏は、1年の3分の1ほどにもなっていくのだろうか。

この厳しい気候下では、少しの体調の不良も増幅される。
屋外活動を生業とする人たちは、いったいどれほど身体を痛めつけられていることだろう。
考えるだに胸が痛む。
その恩恵を受けながら、自分はのうのうと生き長らえているのだと思う。

銀行、百貨店、飲食店、小売店・・。
上着を着ても寒い程のきつい冷房をかけた施設に入ると、その無神経さに怒りすら覚える。
きっちりスーツを着込んで涼しい顔をしているテレビの中のアナウンサーも、異次元の世界の人間に思える。
−どうして人間とは、かくも自分勝手で愚かなのだろう?。

都心では、汐留などの再開発で建てられた高層ビル群が涼しい海風を遮り内陸部の気温が上昇する、東京ウォール現象が語られている。
造ってしまってから気付いても、遅いのに。

それにつけても思う。

近年東京及びその周辺部では、景気の低迷に伴う地価の下落に力を得て、高層マンション建設が急加速している。
都内への通勤圏にある私の居住地でも、空き地や建物が取り壊された跡地には、ことごとくと言っていい程、次々と高層マンションが建てられている。

その容赦の無さ。こういう面では、日本人の勤勉さが恨めしい。

建物の建っていない土地がそこにある・できた・できそうと見るや、マンション建設業者のチラシ・営業攻勢が来る。
そして土地活用・税金対策の名のもとに、マンション建設か土地の売却かを迫り続ける。

彼らには営業のノルマがあり、会社には、造って売り続けなければ商売にならないという事情があるのだろう。
しかし、会社が生き残れれば、それでいいのか?。

1)大規模マンションは、局地的な人口の増加と、それによる生活密度の上昇をもたらす。
2)高層ビルは、周囲の環境に大きな影響を与える。
現実に、前者で子供の数の急増による公立学校の不足、後者で周辺住民の日照権の障害などが問題になってもいる。

それなのに、私の知る限り、世に見聞きするマンション建設業者の振る舞いには、こうした周囲への影響に対する温もりのある配慮が、およそ感じられたことがない。
経済効果のみを追い求め、社会を構成する一員としての展望を持たない企業。
それは、あるべき姿ではないだろう。

売れればいいという事業では、顧客さえ犠牲にされる。
外見と効率化・低コスト化のために、科学物質をてんこもりにした部屋。
高温多湿の日本にそぐわない、窓がなかったり吸湿性に乏しい材質を使ったりの、換気の悪い部屋。
そうした部屋のひとつで、私も、自分の人生の普通の未来を失った。

さらに30年から50年後、これらのマンションは大半が廃虚となり、膨大なゴミになるのだろう。そんなことも、預り知らぬと考えているのだろうか・・・。

以前は2階建て程度の建物だった所が、高層マンションになる。
すると戸数の増加に比例して、当然エアコンの使用が激増し、熱い排気の量も格段に増えるだろう。
増えた人口が自動車を使い、そこからの熱気もまた新たに生じることになるだろう。

かくして、ヒートアイランド現象は加速する。
東京周辺は、ますます熱くなる。

2004.7.  

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